育ちあいの家には、一日の流れのなかで「絵本の時間」はありません。
子どもたちが「読んでほしい」と思ったときに読んでほしい絵本を保育者のところに持って行きます。
保育者の膝に座る子もいれば、隣に座る子もいます。
表紙を開き、ページをめくる瞬間の子どもたちの目は「わくわく」の色をしていて、時々私は観察してしまいます。
大人になると、わくわくすることって少なくなってしまうような気がしているからかもしれません。
(でも…観察しすぎると、「早く!」と叱られたり、子どもたち自らがページをめくり、目力で「読んで!」と圧をかけられたりします。😅)
たまに、「ぼく・わたしも見る~!」と言いながら、他の子が寄ってきて一緒に見ることもあります。
絵本を見てAちゃんが笑うと、それを見てBちゃんも笑う…
Cちゃんが絵を指さして、「これ、なぁに?」と言うとDちゃんも「なに?」と言いながら指を指す…
「これ、お散歩でみたね。」
「うん、見た。」と会話が生まれることも…
こんなふうに同じ絵本を一緒に見て、同じ時間と気持ちを共有することは、「絵本を楽しむ」こととは別に、また意味のあることなのだと感じる毎日です。
『つられたらたべちゃうぞおばけ』
おばけが好きで、『ねないこだれだ(せなけいこ作)』をよく読んでいた3歳の男の子におすすめした絵本です。
おばけの動作につられておなじことをしてしまうと、ばくーんと食べられてしまう…
その場面を初めて見たときは、予想外の出来事と怖さで固まってしまった育ちあいの家の子どもたち。
でも、本当は悪いおばけではなく、子どもたちと遊びたかっただけだと分かると「ほっ…」
最後に、おばけがお母さんを求めて大泣きするシーンでは、心配そうな顔でおばけを見つめていました。
ストーリーを理解して楽しめるのは、3歳くらいからですが、それより小さい子も自分なりにこの絵本を楽しんでいました。
1歳の男の子は、おばけが出てくるたびに指をさして、「おばけ!」と笑顔で誇らしげに教えてくれます。
2歳の男の子は、ちょっぴり暗い階段の段差に一人で腰掛けて、そ~っとおばけのページをめくり、「こわ~い…」と呟きながらスリルを味わっているようです。😊
絵本には対象年齢というものがありますが、それはストーリーを理解して、お話の世界を楽しめる年齢ということで、絵本を1つの「おもちゃ」のようなもととして考えたら楽しみ方は自由なのだな…と思います。